旅行記 序章

 

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「生活のために仕事をしているのか、仕事のために生活をしているのか、わからなくなってきてしまったんです」

 

そう言いながら会社の社長の前で大号泣したら休みをくれた。そこで、急ではあるが旅に出ることにした。

 

さりとて行くあては無かった。

とにかく遠くへ行きたかった。

見たいもの、やりたいこと、何も無かった。

あ、海は見たかった。

いや、むしろ海があれば何処でも良かったと言っても過言ではないかもしれない。

 

私は海が好きだ。

楽しくて悲しい、海が好きだ。

 

最近の私は自分に自信を失くしてしまっているので、ちょっと海でも眺めて自分を見つめ直して来たらいいんだと思う。

 

そんなわけで、海がある土地に行くことが絶対条件となった。

 

 

とはいえ日本は島国だ。

むしろ海に接していない県の方が少ないんじゃないか?(今調べたら、47都道府県もある中でたった8県しかないみたいです。日本、海すぎるだろ)

 

ざっくりと「遠く知らない街に行きたいな〜」

という願望があったので、

めっちゃ南かめっちゃ北という要素に絞られた。

 

 

ぶっちゃけ言うと、

本当は石垣島に行きたかった。

 

離島なんていつでも行きたい。

なんなら休みが決まった直後からピーチ航空で東京→石垣島の航空券を調べていた。

 

しかし天気が悪かったのだ。

そうなるとこの辺りの離島群は大体天気が悪いということになる。南の離島は断念。私はどうしても晴れの海が見たい。これはあくまで持論なのだが、山は晴れでも雨でも曇りでもそれなりの雰囲気を醸し出してくれるが、海はそうはいかない。晴れの海と雨の海とでは景色を見た時の感動が圧倒的に違う。海は手厳しいのである。

 

それなら、全国の天気予報を見て晴れている場所を目指せばいいのでは?名案である。早速、Googleの検索ボックスに「全国 天気」と入力し、検索した。どうやら本州以北は全体的に天気が著しくないらしい。それなら北だな。そんなざっくりとした感じで北に行くことにした。

 

北といえば、私がいま読んでいる小説の舞台がちょうど函館だった。ちょっと前に読んでなかなか琴線に触れた小説も函館が舞台で、津軽海峡が印象的な場面で使われていた。

辻仁成の『海峡の光』は色々と考えさせられる良い作品なので気になる方は読んでみてください)

 

津軽海峡を見に行くっていうのは良いかもしれない。

私は、津軽海峡というものになんとも言い難いロマンを感じている。それこそ昔は青函トンネルがある訳でもなく、北海道と本州とをつなぐ唯一の手段が津軽海峡を渡る船であった。今でこそフェリーなんざポンポンと乗れるものだが、その昔はそうはいかない。高いお金を払って津軽海峡を渡るということは、一念発起して行う、人生の一大イベントであったという。

 

はァ〜ロマンである。

人生の岐路に立たされている今の私が自分を見つめ直しに行くのにはうってつけの場所なのではないか。

 

青森→函館と行こう。

そう心の中で決めた頃には夕方の6時であった。

 

この日、私は「大事そうで大事じゃない、いや割と大事だな」みたいなプレゼンをなんとか成功させたため、なんかもう仕事はもういいや、って気分でこの時間から勝手に自由の身になっていた。あの残業地獄で有名な私が、である。

 

ところで話は変わるが、この日のプレゼンは上司と部長にメチャクチャ褒められた。練習したんだから当たり前の話である。本当にやめてほしい。本当の私は全く何もできない人なのに、会社で勝手に「デキる新卒」みたいな偶像を作り上げられていることが心底辛い。頑張ったも何も、やらなきゃならない状況に立たされたからやっているまでであって、真の私はもっとクズ扱いされて然るべき人間なのである。期待のハードルが上がるだけである。いつかボロが出るのが恐ろしい。もっと下手にやれば良かったとさえ思う。

 

 

 

そんなことはどうだっていいね。

といことで速攻で本屋さんにガイドブックを購入しに向かった。旅行のガイドは断然、ネットより本の方が欲しい情報がまとまっていて良い。ネットの旅情報で有益なのは誰かのブログくらいだ。

 

 

函館、青森のガイドブックをいくつか読んでみて私は思った。函館はいつか誰かと行きそうだな。別に今じゃなくても良いのではないか。

観光の内容を見ても、一人で何かを眺めてボーッとするよりは街をサクサクと散策をする感じで、なんとなく一人旅向けではない気がする。。。

 

そんなわけで、私は青森に向かうことにした。

 

 

 

 

 

少し話は変わるが、

ここのところ、ゴミか人間かで言ったらどちらかと言うとゴミ寄りの生活を営んでいる私だが、

そんな最近の私を癒してくれるものは3つある。

 

飲酒、読書、音楽

 

この3つだ。まあ、生活が荒んでいようがいまいがこの趣味は変わらない気もするが。

 

そこで、私はふと思った。

これらを、海の見える旅館で遂行したらメチャクチャ楽しいんじゃないか?

 

あーーーーそれだ。

波の音を聴きながら飲酒読書音楽。

私はもう頑張りたくない。

行きたい場所で、本当にやりたいことをやる。

旅行先だからといって何かを見に行ったり、そこでしかできない体験をしたりと頑張る必要はないのだ。むしろ海の見える旅館で飲酒読書音楽こそが、“”そこでしかできない体験”なのではないか。

 

 

もうダメだ。

こうなったら今から行きたい。

私の頭の中では、明日の私はもう海を眺めているはずなのである。

 

持ち前のフットワークの軽さにより、

3時間後に出発する青森行きの夜行バスを予約した。

 

 

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私は今“海の見える旅館”にてこれを書いています。

そろそろ温泉に入りに行きます。

元気があったら本編も書きますが、あまり期待しないでください。頑張らない旅行なので、、、すみません。序章で終わる旅行記とか最悪でウケるな。

 

 

それでは。