市民プールに行きました

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※参考画像です

 

 

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みなさんは、このようなツイートを見たことがおありだろうか?そう、自宅は今、水泳にハマっているのである。

 

 

 

先日、約10年ぶりにプールで泳いだ。

 

 

私はいわゆる運動嫌いの運動オンチだ。

小学生の時から万年ショートヘアだった為、風貌だけはスポーツ少女な感じだったのだが、マラソン大会で何十人もいる中、ビリから2番目を取ったこともある。逆にどう走ったらそんな順位になるんだ?

球技も酷いもんで、ボールを投げたら足元のすぐそばに落ちているなんてこともある。四肢の使い方がおかしいんじゃないか。

 

 

そういうわけでスポーツの類いがからっきし駄目なのだが、小学校時代の数年間スイミングを習ってたおかげで水泳なら多少はマシであった。とはいえ出来ない人よりかはまぁ出来る、程度ではあるが。

 

(ちなみに習い事のスイミングは鬼コーチのせいで小6の時に辞めた。頭が痛いと申告したにもかかわらず「それは嘘だろ」みたいなことを言って強制的に泳がせられたのマジでアイツなんだったんだ。)

 

スイミングが得意か否かは別として、「泳ぐ」という行為は私が唯一楽しいと思える運動ではあった。

あの巨大な水の塊に埋もれて、数百メートル、下手したら数キロも地面に一切足をつけずに泳ぎ続けるというのは、えも言われぬ心地よさがあった。

 

小6でスイミングを離れてからはプールに入るという機会は一年に一回あるかないか程度で、しかもガッツリ泳ぐわけでもない。泳ぐ楽しさも歳を重ねるごとに段々と忘れていった。

 

 

 

そして23歳夏、

突然「プールでガッツリと泳いでみよう」

とそういう気になった。

 

私はふざけたビキニしか持っていなかったので、勤務中だったが即座に「フィットネス水着10点セット」を楽天で見つけて購入した。3980円である。正直言うと10点も必要なかったのだが、なんか面白いので買ってみた。スマホジップロック?とかもセットになってるらしい。いつかサマーランドとかに行った時にでも使おうと思う。行かない気がするけど。

 

届いた水着は思ったよりかっこよく、着用してみるとなかなかサマになる。約10年ぶりに泳ぐとは思えない姿になった。何事も形から入るのは大事だ。

 

何事も形から入るのは大事だし、何事も気持ちが冷めないうちに始めるのも大事。服の下に水着を着込み、徒歩20分のところにあるプールへと向かう。

 

ところで市民プールというと皆さんはどういうものを想像されるだろうか。私の地元の市民プールはそれはそれは質素なもので、コンクリートの穴ぼこに水を溜めてみましたみたいな風貌である。もちろん野外。夏場しか開放していないので、小学生のころは7月に入るとプール開きの日を心待ちにしていた。たった200円で一日中いられるその場所は、夏休みに行くあてのない田舎の子供にとって大切な場所であった。

 

そして私が行く市民プールはというとそれはそれは立派なもので、ジムのプールと同じような形ものであった。しかも利用料は大人でもたったの400円。都会の市民プールはこんなにも立派なのか…?公式ホームページを見た私は思わぬところで軽くカルチャーショックを受けてしまった。

 

(先日このことを別の人に話したら「今どき市民プールはみんな屋内だよ」と言われて悲しくなってしまった。「うちの地元のプールはコンクリの塊(野外)だよ!」という人は一緒にこの悲しみを分かち合おう)

 

初めての屋内市民プールに意気揚々と出掛けたはいいものの、入り口の自動ドア(入り口が自動ドアなんて!)に入ると係員が何やら困り顔。私の元に駆け寄ってきたその人の話を聞くところによると、短縮営業により今入っても10分ほどで出なきゃいけなくなるとのことだった。

 

完全なる盲点!

今はまだ19時半。ホームページ上では確かに22時までとなっていたのだ。まさか20時までになっていたなんて、、、!おのれ憎きコロナめ。

 

 

たった10分の為に体を濡らすのはシャクなのでこの日は大人しく帰ることにした。水泳チャレンジ失敗である。憧れの市民プールに追い返されるように帰路についた私は、ただの「水着を中に来て散歩しただけの人」になってしまった。非常に悔しい。

 

 

このままではフィットネス水着10点セットが虚しくなってしまう。数日後、私は市民プールリベンジをした。今度は営業時間もしっかり把握した。さあバッチリである。

 

 

どうせ歩いてちょっとの場所だし…と気を抜いた服装で家を出た。泳ぐということもあり、もちろんノーメイク。しかしそれがいけなかった。

 

家のドアを開け、マンションのエレベーターに乗ろうとすると、先に男女がエレベーターを待っていた。その男女はとてもお洒落で、身なりに気を使っているのだろうなということは一目で分かった。

 

怖い!私は突然怖くなった。

怖くなって「おっと忘れ物が…」というフリをして玄関に戻った。情けない。情けなすぎる。

 

何も、エレベーターで居合わせたからといってその男女に攻撃されるわけでもあるまい。一体何を怖がってるんだ。本当に情けない。私は本当に小心者なので生活の中でこういう場面が尋常じゃなく多い。他人の目を気にしすぎているのだ。だから生きにくいんだよ!!!!!!

 

ちゃんとお洒落をして化粧して“武装”していればこんな気持ちにはならなかったはずだ。私にとって、お洒落は自分を生きやすくする為の術でもある。

 

 

 

 

一旦玄関に戻った私は、あの男女を乗せた先発のエレベーターが地上に着いたであろうタイミングを計らって再び家を出た。今度は誰もいない、大丈夫。

 

 

ワシワシ歩いたらあっという間にあの自動ドアの前になっていた。係員も今回は歓迎顔。

 

 

上に着ていた服を脱ぎ捨て、水着姿でプールサイドに躍り出た。あれほどまでに渇望していた水の塊を目の前にして、私は興奮していた。

 

 

レーンは上級コース、中級コース、初級コース、歩行コース、フリースペースに分かれている。

ちなみに中級以上は25mを立たずに泳ぎ切れることが条件であった。

 

この年齢になってどれほど泳げるのかは未知数だったが、流石に25mを泳ぎきれないほど鈍ってはいないだろうと、一旦中級コースで泳ぐことにした。

 

泳ぎ方は何でも良かったが、クロールで泳いでいる人が圧倒的に多かったので手始めにクロールをすることにした。

 

まず水に足をつけ、水に慣れるために頭の天辺までじゃぼんと潜った。微かな塩素の匂い、大粒な泡が弾けて消えゆく音、底のなめらかなタイルの感覚。

もうこれだけで今日は満足できるほど、プール特有のあらゆる感覚を一気に味わった。

 

プールの底から足を離し、思いっきり蹴伸びをして泳ぎ始めた。

 

 

 

待ってクロールってこんなに疲れたっけ?

先程まで全身で味わっていた感覚が全て消失するほど水を掻いて進むことに精一杯で、正直楽しさを感じる余裕なんてなかった。

 

プールを往復して50mを泳ぎ切った頃には「もうこれ以上泳げません」というほど息が切れてしまっており、私は絶望してしまった。

 

 

(あの頃の泳ぐことへの悦びを享受することは不可能になってしまったのか……)

 

市民プールが、ただの池に見えてきた。

「もう帰ろうか」とまで思ったが、せっかく来たのにクロールしかしないのはもったいない。クロールを泳ぐ人が大多数の中、平泳ぎをするのは少々恥ずかしい気もしたが、一番好きな平泳ぎをすることにした。

 

 

 

 

泳ぎ始めること数十m、

平泳ぎにしてよかった!!!

水泳ってめっちゃ楽しい!!!!

 

水泳の悦びが蘇ってきた。

楽しい。泳ぐの楽しすぎる。

 

 

指をすり抜けて形を変えゆく水は、まるでよくできたCGのように滑らかで清らか。無限にある泡は天井の照明を受けて銀色の光を放っている。さっきまではただの呼吸を塞ぐ液体だったはずの水が、世界の美しさとなって一面に広がっているではないか。

 

 

 

なんか色々あったけど、やっぱり市民プールに来てよかった。そんな感じで現在私は市民プールに魅了されている。